フリーランスエンジニアの経費と言えばどのようなものがあるでしょうか。
PC購入費、通信費、技術書代、交通費、セミナー参加費などがまず思い浮かぶと思います。
また、自分のサイトを持っているならドメイン費、サーバー代金などもあるでしょう。
しかし、これらを合計して少し多めに見積もっても精々100万を超えるか超えないかくらいかと思います。
【フリーランスエンジニアの節税策3選】でも触れましたが、フリーランスエンジニアは経費があまりかからない業種なため、節税のためには所得控除を以下に有効に使えるかがポイントです。
そのため、経費よりも控除に重点を置いて対策するのが基本になるのですが、一方で、経費を増やすことも諦めたくないという気持ちもあるかと思います。
今回の記事では、フリーランスエンジニアにとっての賢く合法な経費計上テクニックについて解説して行こうと思います。
主な対象読者
- 最近フリーランスエンジニアになったばかり、または転身予定の方
- 税金とかよくわからないけど得したい方
本記事の内容については誤情報が無いように細心の注意を心掛けていますが、誤りがございましたらコメントにてご指摘ください。また、筆者は税金や法律の専門家ではございませんので、税務などについてのご質問には回答できませんのでご了承下さい。
フリーランスエンジニアの経費を増やす方法
経費に対しての考え方
前提として、「経費」という概念について基本的な考え方をおさらいしておこうと思います。
そもそも経費が掛からないことは良いこと
「経費を増やそう」と言っておきながら矛盾したようなことを言いますが、経費があまり掛からないことは売上に対してほとんどが利益になるわけですから、それ自体は非常に健全な状況と言えます。
掛かる経費があるということは、それだけ利益(現金)が減ってしまうので、掛ける必要の無い費用は極力避けるべきです。
所得税の計算ロジックを知らないがためのよくある勘違いで「使った経費分そのまま納税額が減る」と思っている方がたまにおりますが、これは完全に勘違いです。
所得税の計算式
((売上 ー 経費 ー 控除) × 税率(5%〜45%)) ー 税率に応じた控除額 = 所得税
(売上 ー 経費 ー 控除)の部分が所得(課税所得)です。
経費は直接納税額を減らすのではなく、所得を減らすものですので、節税額より出ていく現金の方が当然多いのです。
例え経費になるものだとしてもすぐには必要ないものや使い倒せないものにお金を使い過ぎないようにしましょう。
なんでも経費にしていいわけじゃない
さて、以下の3つは経費と言えるでしょうか。
- 休日のお昼に一人で牛丼を食べに行った
- 家族で一泊温泉旅行に行った
- 好きなアイドルの握手券付きCDを買った
経費として計上できるものは、
【売上に貢献していることを論理的に説明できるかどうか】
これに尽きます。
休日に一人で食べた牛丼一杯が売上に貢献しているでしょうか。
アイドルと握手して売上アップするでしょうか(余談ですが、筆者はAKB48ファンなので売上アップするかもしれませんw)。
リフレッシュにはなるでしょうが、経費性は大いに疑われます。
もちろん、仕事しながらついでにお昼を食べたとか、たまたま好きなアイドルがテーマのアプリ開発に携わったとかで経費性を説明できなくもない場合もありますが、
怪しいものについてはそれ相応の説明ができないと、税務調査で否認される可能性があります。
そう言った経費として説明がつかない日常のプライベート費用のことを【家事費】と言いますが、これを経費として計上することは節税ではなく脱税になってしまいます。
追徴課税の他に悪質性が高いと重加算税という重いペナルティが課されるため、安易な考えで経費に組み込むことは止めましょう。
「売上数百万の個人事業主のところに税務調査なんて来ない」と考えている人も多いようですが、税務調査官を舐めてはいけません。
売上600万で経費400万のフリーランスエンジニアがいるでしょうか。そういう不自然なところはすぐに税務署に目をつけられます。
税務調査は来ると思って、誠実に賢く節税はしていくべきです。
【家事関連費】で経費を捻出
明らかにプライベートな費用に関しては【家事費】として扱う一方で、
昨今のテレワーク普及に伴い、光熱費の使用量も増えていると思いますが、エアコン、ストーブなどの電気・ガス代なども家事費となってしまうのでしょうか。
実はプライベートと仕事に跨る支出に関しては使用料の一部を経費として計上することが可能です。
このような支出のことを【家事関連費】と言います。
家事関連費になるもの
家事関連費として上げられるものとして、家賃と光熱費がその代表です。
自宅兼事務所であるわけですから家賃も光熱費も一定の割合で経費性が認められます(但し住宅ローンの場合は利息部分のみ)。
その他にも、
- プライベートのスマホを開発用にも使うなら消耗品費
- 近くの喫茶店で作業する目的の移動用自家用車の車両費
- 被服費としての普段は着ないビジネススーツ
なども一部を経費として計上できる可能性が高いです。
家事関連費の経費の割合(%)はどうするべきか
家事関連費の内、何%を経費とするかは自分で決めなくてはいけません。
法律の条文上、家賃は〇〇%、電気代は〇〇%、と言ったような具体的な数字はどこにも書かれていないからです。
そのため、費用ごとの実態に即して経費の割合を求める必要があります。
例えば、
- 仕事部屋が床面積の内何%を占めているかを基準に家賃を計上する
- 電気代は仕事中の使用時間、または家賃と同じ床面積で判断する
と言うようにすることができます。
無難に全部50%、とかにするのではなく、「こうこうこういう理由で決めている」と税務調査官に説明できるようにしておきましょう。
実態はほぼ家事費で10%も使っていなかったり、考え方によっては60〜90%計上しても良い場合もあります。
ネットや知り合いの情報を鵜呑みにせず、自分の判断で割合を決めるように心がけましょう!
おすすめの経費
最後に、100%または高い割合で経費計上可能な筆者がおすすめする経費について紹介します。
経営セーフティ共済
【フリーランスエンジニアの節税策3選】でも紹介していますが、
「中小企業基盤整備機構」が運営する取引先の倒産などに備える制度です。
毎月の掛金は全額経費に計上可能です。
貸付を受けなくても一定の加入期間を経ていれば元本割れせずに解約可能なので、貯金しながら経費計上できる優れものです。
但し、全額所得控除になる小規模企業共済やiDeCoに比べるとメリットが薄いので、経営セーフティ共済は後回しの方が良いかもしれません。
本を買う
プログラミングの技術書は当然100%経費になりますが、それ以外の教養本なども経費に計上して良いと考えています。
例えば、筆者は以下のような本をよく購入しています。
- ブロックチェーン技術の理解のための暗号資産関連の本
- 税金を学ぶための節税関連の本や簿記のテキストなど
- 今後の個人事業主としての将来設計を考える上でのビジネス系書籍
内容によっては漫画でも認められる可能性があります。
本を読むことは、自身のスキルアップはもちろんのこと、将来的な売上の向上に大いに貢献すると思いますので、このようなお金の使い方はケチらず積極的に活用していきましょう。
まとめ
今回は、経費についての考え方、家事関連費、おすすめの経費について解説しました。
まとめますと、
- そもそも経費が掛からないことは良いこと
- 浪費にならないようにする(経費を使った以上に納税額は減らない)
- 家事関連費を活用する
- 経営セーフティ共済で貯金しながら経費を増やす
- 本を読んで個人事業主としての底上げをしつつ経費を稼ぐ
これからフリーランスエンジニアを目指す方、既に独立しているが経費についてよく考えていなかった方も含めて、改めて経費について考え直すきっかけになれば幸いです。
以上
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